清水もつカレー総研事務局・清水ブランド大作戦事務局

2011年01月09日

買い物難民

昨年(2010年)
3月16日日本経済新聞「買い物弱者 近所で守る」
車を持たない高齢者が買い物に困る例が目立ってきた。
買い物がしやすい環境は生活の質を左右する。
高齢者には健康や近所の人たちとコミュニケーションを保つためにも重要。
NPOが店や青空市を開いている例を挙げている。


6月23日静岡新聞「食の砂漠 対策始まる」
最寄りの食料品店が廃業し、野菜や精肉、魚などの入手が困難になる人が増えている。
低栄養や、偏食による肥満などの健康被害につながる問題は、欧米では「フードデザート(食の砂漠)」と呼ばれ、日本でも対策が始まった。
ある駅前のセブン-イレブンが生鮮系の食品を増やした。
フードデザートには、コミュニティの維持・再生などといった社会的視点で対処することが重要。


7月6日静岡新聞時評「買い物難民増加 歩いて暮らせる社会を 川口良子氏」
買い物難民600万人(経産省)。
60歳以上の16.6%が買い物に不便を感じている(内閣府)。
時代を経るごとに、大型化、複合化して魅力を高めていった郊外型大型ショッピングセンターを歓迎し、積極的に利用し、今の状況へと導いたのは、私たちの消費行動である。
まずは、「歩いて暮らせる地域社会の実現」を未来志向の地域の将来像として、私たちがきちんと認識することが大切である。


11月29日日経MJ「買い物弱者対策本格化」
経産省は高齢者向けの宅配事業や過疎地域で小売店を開設する事業者を対象に初期費用を補助する事業を開始。
国交省は山間地域の高齢者に買い物の利便性を提供する「出張商店街」の実証実験に取り組んでいる。

12月4日静岡新聞社説「買い物弱者支援 小売業の積極策に期待」
公的支援とは別に、小売り業者側が新たな商機として積極的に取り組む動きに期待。
送迎・ご用聞き・買い物代行・宅配・・・。
買い物弱者を支援する個店の取り組みを商店街にも求めたい。
商店街は地域住民の交流の場であり、街のユニバーサルデザインとしてハード、ソフト両面で取り組み、活性化につなげて欲しい。


などの記事が相次いで掲載された。

しかしすでに5年前の2006年3月の(財)静岡総研の機関誌「SRI」にて、矢作弘氏が寄稿論文において指摘している。
風邪薬を買うのに1kmも2kmも歩かなければ薬店がないという地方都市は、高齢者にとって残酷である。郊外に大型店が張り付き、まちなかが疲弊する-すなわち、「商業施設の適正配置」が崩れてくると、生活者の日々の暮らしが難しくなる。高齢化社会を迎える。高齢者が安心して暮らせるまちこそが高齢化時代の社会インフラとなるべきである。それは、高齢者医療制度や介護保険制度改革以前の基本的問題である。
群馬県渋川市についての興味深い研究がある。渋川市旧市街に無作為に10地点を選び、最寄りの4業種店(食料品、鮮魚店、青果店、精肉店)までの平均距離をはじき出している。それによると、1982年当時は平均395mであった。1990年代に大店法が緩和され市周縁部に大型店が2店舗開店した。1980年代に中心市街地に出店した大型店と合計して大型店数は4店となった。その結果、市内の4業種店舗数は激減。前記10地点から最寄りの4業種店までの平均距離は、524mに延びたという。歩いて暮らせる範囲で食料品を買いにくくなることを、「食料砂漠になる」という。地方都市で確実に、しかも急速に食料砂漠化が進行している。
 最近は、郊外立地のショッピングセンターがまちなかまで無料の巡回バスを運行し、「車に乗れないひとに足の便を提供しています」という顔をしている。しかし、それは単に郊外型大型店の集客手段となっているに過ぎない。ひと通りの減った中心市街地にとっては、乾いた雑巾をさらに絞って客を奪い取られているとしか映らない。巡回バスによる買い物は、歩いて暮らせる生活とはほど遠く、高齢者に親切な生活環境づくりにつながっているとは言い難い。


清水区の三保地区では小さな店が、大型流通資本のショッピングセンターやロードサイド店の出店により相次いで閉店。
食料砂漠、日用必需品の買い物にも困るお年寄りが一挙に増えたという。

引用が多く長くなってしまったが、国の施策は進行する砂漠化への対処療法に過ぎない。
というのは、「砂漠化する社会」を前提にしているからだ。

この社会を「変えることができないもの」と若者だけではなく、この国全体が思い込んでいるのではないだろうか。
何をしてもいいという放任の自由から、法律で制限するなかでの自由という方向に切り替えなくては、砂漠化の進行は止めようもない。

変えられるもの、代えていくもの、替わっていくもののさきに、私たちのまちの将来像を、川口氏が言うように私たち自身が思い描いて(イマジンして)みたい。




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Posted by クールなお at 16:37│Comments(0)まちづくり
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