清水もつカレー総研事務局・清水ブランド大作戦事務局

2010年01月20日

日本のガウディが清水の山里に

日本のガウディが清水の山里に

建築史家の村松貞次郎が「あっ!これは日本のガウディ」と叫んだという寺院が清水の柏尾にある。

村松貞次郎は島田市出身で東大の建築学科卒、明治村館長を務めたという建築学会では偉大な学者。生前グラビア誌にあった大工道具の紹介をみていたく感動し、島田出身だということで印象に残っていた人。

その大家がおもわず叫んだという、光福寺本堂は鉄筋コンクリートの寺院としては日本で最も古いものの一つ。

日本のガウディが清水の山里に
案内文
大正13年から昭和2年にかけて建設された、鉄筋コンクリート造りの寺院本堂。

大正12年(1923)関東大震災による木造の全焼や、煉瓦造り崩壊で反省され未来永劫残せるものとの考えから、、変わって鉄筋コンクリート造りが、地方へ伝播してきた先駆的建物として貴重である。火灯窓(かとうまど)・懸魚(げぎょ)等伝統的寺院建築の手法を含めながらも、全国的に例をみない思い切った特異な意匠である。新しい技術やデザインに果敢に挑戦した先人の努力と、創造力の豊かさは近代建築として優れている。
平成12年7月 静岡県教育委員会 光福寺保存顕彰会


このお寺に至る道、そして山門
日本のガウディが清水の山里に日本のガウディが清水の山里に
清水のまちの平らかな部分が山に突き当たったそんな里に、建築技術の最先端の建物ができた。
しかも、設計施工を行ったのは、清水で製材所、木工所、土木建築請負業を行っていた人だという。有名な建築家を呼んできて造ったのではなく、地元の人たちで造ったというのだ。これは清水がもっと誇っていいことではないだろうか。

大正13年は1924年、清水が開港して25年。

「富士宮の刀鍛冶に育ち彫金の飾り職人として修業した春田政藏が港として発展途上にある清水に来て紺屋町に貴金属商春田商店を開業したのは大正3年である」(郷土史家 多喜義郎)。メガネの春田の前身で、眼鏡店としては1920年を創業としている。
また、大正9(1920)年頃には港町の老舗蕎麦店「蓬莱亭」、洋食店「サンライス」などが相次いで開店している。
清水が前途洋々と輝いていた時代であったのだろう。

これは清水のローカル・アイデンティティ(清水が清水である身分証明・独自性)としての、「進取の気性」「挑戦」「自ら行うという自立性」などの象徴としても大事な資産だ。

日本のガウディが清水の山里に

内部を覗かせてもらうと、もちろん畳ではなく人造石であり、教会のようだ。
折りたたみの椅子があったのでそれを使うのだろう。
須弥壇も大きく深くというではなく、簡素なものだ。



日本のガウディが清水の山里に



正面屋根の部分を左右に飾るレリーフは鏝絵で、伊豆から職人がきて造ったという。
長八の弟子というような人だったのだろうか。


※このブログは季刊清水42号(戸田書店)の特集3「柏尾光福寺本堂の保存修理」鈴木悦夫著をもとに現地に行き書きました。




皆さんも、ぜひ一度ごらんになって下さい。



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Posted by クールなお at 13:23│Comments(21)favorite things
この記事へのコメント
私は東京の大学で建築を学んでいる者です。
実家が静岡で、8月3日~18日まで帰省していました。
大学の宿題で、近代建築について調べる、
という宿題がでて、帰省中に静岡の建築物についても
調べるため、いろいろ回りました。
家から一番近かったのが、この光福寺でした。
大して遠くもないのに、こんなに不思議で、
頭の中からいつも離れないくらい自分の中に残る
建築物を見ることができたのは、ひさしぶり、というか、
なかなかないことでした。


しかし、光福寺には、ご存じのようにたくさんの謎があります。
デザインもすごくインパクトが強いです。
そこで、少しでも光福寺についての情報を得るため、
たくさんのインターネットのサイトを見たり、設計・施工者の
桜井康弘さんについて調べたりしたのですが、
なかなか良い情報が得られません。

「日本のガウディ」とまで言われたのに
そこまで人に知られていないようで、桜井さんについても
謎がたくさんあるのです。

なにか良い情報があれば、教えていただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。
Posted by まなみ at 2010年08月18日 21:35
>まなみさん
私が参考にした情報源は
戸田書店が発行している「季刊 清水」です。
その42号(2009)に
特集3 柏尾「光福寺本堂」の保存・修理
があり、平成8~10年まで調査から12年に欠けて修理工事にたずさわった
一級建築士の鈴木悦夫というかたの
4ページにわたる記事によるものです。
それ以外はインターネットなどで調べました。

建築士会の知り合いもいますので、
何かあれば、ご協力します。
Posted by クールなおクールなお at 2010年08月19日 07:54
お返事、ありがとうございます。
私は一昨日から用事があり、東京に帰ってしまいました。
光福寺のことはちゃんと謎が解けるまで、(笑)調べて
いきたいと思っているので、9月にまた静岡に帰ります!

とても参考になりました。

また何かあったらメールするかもしれないので、
その時はよろしくお願いします。


あ、ちなみに、この光福寺のデザインには
「インド」系のものがあるのですが、
そうなのでしょうか?
もしお分かりでしたら、教えてください。
Posted by まなみ at 2010年08月20日 23:34
光福寺を見たら、関西の人間なら、プチ・モダン寺だと思うでしょう。同時期、神戸に建てられた鉄筋コンクリの本願寺神戸別院、別名モダン寺と関係なかったのか、興味あるところです。
http://www.hongwanji-kobe.jp/betsuin/html/framepage1.html

こういう「まがいものインド様式」を完成させた建物が、伊東忠太の築地本願寺ですが、それが昭和9年ですから、早いことは早い。

ただ、こんなインド様式とかサラセン様式とか、結構みんな知ってたんじゃないのかなあ。あのヴォーリズも昭和はじめに「なんちゃってタジマハール」みたいな建物を設計してます。
http://gipsymania.exblog.jp/5917629/
Posted by 真丹後 at 2010年08月25日 12:06
>まなみさん
真丹後さんがフォローしてくれていますので、参考にして下さい。

>真丹後さん
建築にもお詳しいですね。
私は単純に造形が面白いものに興味を惹かれるだけで、専門的なものは分かりませんが、建築史というのも楽しそうです。

街の建物を見ると、栄えた時代とか、それを支えた産業とか、人々の暮らしを想像させます。

興津・清水の普通の家、商家、医院のちょっとした意匠をとらえた真丹後さんのブログには感心させられました。

ここのところは失われていくばかりの蔵を何とか記録していきたいと思っています。
Posted by クールなおクールなお at 2010年08月28日 10:02
建築に詳しいわけじゃないのですが、アメリカの近代仏教研究の先生が、伊東忠太の研究をされてて、これがなかなか面白かったもので。

お寺といえば、小島の龍津寺に須弥山器などかなりおもしろい史料が眠っています。
Posted by 真丹後 at 2010年08月28日 22:57
>真丹後さん
伊藤忠太という人は面白い人ですね。

先日袋井可睡斎に行ったのに護国塔(1910)を見落としました。
近くでは他に名古屋の日泰寺にも仏舎利奉安塔(1918)があるようです。

光福寺(1924)にも、その頃の影響というか、時代背景があったのでしょうか。

小島藩菩提寺の龍津寺には、とんでもないものがあるんですね。
地元で余りにも知られていなすぎです。

これも須弥山儀-龍谷大学-伊藤忠太つながりでしょうか。
Posted by クールなおクールなお at 2010年08月29日 10:59
龍津寺のお宝はなかなかすごいのですが、確かに”町の衆”には知られてないですね。
母親の実家が小島なので、子供の頃はよく遊んでいて、なんだか古い器械があることは知っていましたが、渾天儀と勘違いしていました。

ここの須弥山器は、静岡大の小二田さんが調査を始めていて、10月にもイベントがあるようです。
Posted by 真丹後 at 2010年08月29日 20:10
>真丹後さん
本日の静岡新聞「古道を行く」に小島が1ページにわたり取り上げられていました。
龍津寺では、子どもたちが「寺子屋」で勉強している写真がでていました。
須弥山器のほかにも、白隠禅師のお宝もあるようですが、
となれば庵原平四郎の逸話なども誰か知らないでしょうか。

地元の語り部が入れ歯、話を聞いてみたいものです。
Posted by クールなおクールなお at 2010年08月30日 12:38
真丹後さん、クールなおさん、ありがとうございます。

9月に一週間清水に帰り、一人で自転車に乗って
光福寺に行ってきました(笑

初めて行ったときは一人で行かなくてよかった、と思うくらい
光福寺がほんの少し不気味だと思いましたが、
2回目である今回は光福寺を見た途端に
安心感みたいなものが芽生えました(笑

やっぱり、建築物を見ていて面白いことは、
設計者・施工者の人生や性格、感情とかがその建築物から
少し見えるものがあることだなと思いました。また、見えなくても、
その建築物を見て、こういう人だったんじゃないかなとか
想像する楽しさもあるのだと知りました。
建築物だけじゃなくて、美術作品にも言えることですよね!

桜井さんのことも、少し知ることができました。

光福寺を見て、元気が出てきました!
大学は忙しいけれども、がんばりたいと思います!


また実家に帰ったら、光福寺に行きたいと思います★

ありがとうございました。
Posted by まなみ at 2010年09月16日 15:23
>まなみさん
本日は、建築士会のかたたちを
しみず蔵倶楽部として、
港界隈の石蔵を案内してきました。

光福寺は戦火にも遭わず残りましたが、
港界隈の石蔵は戦災に残ったものも
どんどん取り壊されています。

今少し、資料を残したいと思っています。

それにしても光福寺はまだまだ謎だらけです。
研究論文を残したら、後世に貴重な資料となりそうです。
Posted by クールなおクールなお at 2010年09月16日 17:10
「港界隈の石蔵」についての写真、
拝見しましたが、これもまた面白いですね!

私も幼い頃に家の近くにこのような建物が何軒か
あるのを見たことがありましたが、
こういう感じの建物、大好きです!



本当に、光福寺はまだまだ謎だらけです。
大学の課題では、光福寺のことについて触れている内容が
多いものとなりました。
確かに、未解決のものもまだある中での課題提出ですが、
また静岡に帰って、機会がありましたら
光福寺のことを調べていきたいです。

研究論文も、いいですね!
Posted by まなみ at 2010年09月19日 17:06
>まなみさま

寺院が鉄筋コンクリート造りになるという変化は、仏教自体の近代化とも連動していたように思います。

もちろん伝統和風建築をそのままコンクリにしただけという建物も多く、またそれが一番の安全策であったはずですが、その中でどういう試みがあったのか。大正期から昭和戦前期にかけての、そうした試みを横断的に調べていただいて、その中で光福寺を位置づけていただけると、立派な研究論文になるかと思います。ぜひよろしくお願いします。

http://d.hatena.ne.jp/ma-tango/20100907
Posted by 真丹後 at 2010年09月20日 11:55
>まなみさま
つられて私も光福寺にふたたび興味がわいてきました。(笑)
地元なので、柏尾の長老とかいう人がいれば聞いてみたいです。

>真丹後さん
京都で平安神宮、祇園閣と伊藤忠太作品を見てきました。
東西本願寺の間にある伝道院は工事中で見られませんでした。
妖怪好きの片鱗も窺うことができました。

全然違う京都旅行になりました。
Posted by クールなおクールなお at 2010年09月23日 14:15
>真丹後さん
私はもともとデザイン系に進みたいと思っているのですが、
光福寺を調べていることで、建築史や材料のことなど、
かなり幅広いことに目を通す機会に巡り会えたので、
とても楽しかったです。
建築に対する視野も広がりました!

実はまだ大学1年なのですが、まだまだたくさん
時間があるので、じっくり時間をかけて調べたいです!

ありがとうございます。



>クールなおさん
本当ですね!
柏尾には築100年の住宅が当たり前のように
たくさんあるそうですが、
よく考えればその家たちも光福寺と同い年ですからね!
柏尾の方々に光福寺のことを伺うということも
いつかするつもりです。

明日から授業が始まりますが、
大学の宿題に光福寺の話題をたくさん入れました。
課題の中で一番時間をかけた建築物であったし
内容を書いていて一番楽しかったです。
季刊清水もとても参考になりました。
ありがとうございました!

また明日からがんばります!
Posted by まなみ at 2010年09月26日 21:11
龍津寺のイベントは以下のとおりです。

http://www.shizuoka.ac.jp/chiiki/event/20100921_1.html
Posted by 真丹後 at 2010年09月27日 21:48
>まなみさん
このところまなみさんの影響と、真丹後さんのコメントから、建築に興味がいっています。
京都で祇園閣、平安神宮、(伝道院は工事中)東京で築地本願寺、いずれも伊東忠太設計なんぞを見て回りました。

勉強頑張って下さい。

私もね、学生の時もっと勉強しておけばよかったと反省しています。

>真丹後さん
おもしろそうですねぇ

非常に残念ですが、
商店街の視察で長野に行ってます。

かえすがえす残念!!!
Posted by クールなおクールなお at 2010年09月28日 16:20
もう一押し悔しがらせてしまおう。

http://koneeta.hp.infoseek.co.jp/101017a.jpg

http://koneeta.hp.infoseek.co.jp/101017b.jpg

といっても、僕も行けっこないのですが。
Posted by 真丹後 at 2010年09月29日 23:49
>真丹後さん
機械仕掛けを見ると、どんな動きをして
仏教の世界観?宇宙観?が具体的にどう現されているのか、
見てみたいです。

午後5時からというのはなにか意味があるのでしょうか。

うーん見てみたい。
Posted by クールなおクールなお at 2010年09月30日 17:32
酒瓶神社の相撲大会があって、昼間は小島の衆がそっちに行ってしまうからだそうです。相撲大会観戦もいいかもしれません。
Posted by 真丹後 at 2010年09月30日 17:53
相撲まだやっているんだ。
青年団の寄付集めの手ぬぐいを
いま愛用中です。
舎人親王囃子というのもまもなくあると思います。
見てみたいとずっと以前から思っているのですが、
どうなりますか。
Posted by クールなおクールなお at 2010年09月30日 18:00
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