清水もつカレー総研事務局・清水ブランド大作戦事務局

2010年01月11日

衰退・縮小って悪いこと?

衰退・縮小って悪いこと?
「坂の上の雲」「龍馬伝」で、歴史ブーム
幕末・維新・明治、「小さな。といえば明治初年の日本ほど小さな国はなかったであろう」
この小さな国が、大国になっていく物語が人気を集めている。

しかし、日本は「下り坂」を進み始めている。
人口の減少・世界で最も急速に進む高齢化、経済の縮小、ひとりあたりGNPは世界2位からいつの間にか世界23位(IMF2008)、870兆円にものぼる国の借金、貧困率世界第2位、自殺者3万人超が11年連続、小中不登校12万6千人、孤独死、国際的に見ても最も「社会的孤立度」が高い(OECD報告書)、日本の未来は暗いと8割の新成人が考える(静岡新聞1月10日)。

政治、経済、教育あらゆる面で下り坂を迎えているということで「下り坂を生きる」という本も出たそうだ。

00-06年、県庁所在地で人口を減らしたのは10市でその中に静岡市も入っている。
都市間競争に生き残るため、というのも静清合併での大きな言い草だった。

しかしこの著者はいう
「もっと成長を、もっと開発を」ということと引き替えに、誰もが「大切なものを失った」という喪失感をもっている。他者を追い越し、追い落として成長することが成功することであるという考え方に、人々の心がどれほど荒び、時に犯罪につながってきたことか。朝夕の新聞をにぎわす凶悪犯罪も、成長と開発を謳歌してきた都市文化の生産である。


そして
縮小都市の積極的な面を捉え、あるいは時代の要請に適合するように都市の縮小を誘導することを、ここでは「都市規模の創造的縮小」と呼ぶこととする。


縮小を認め、それにあわせた「賢い衰退」を都市施策にするべきだという。
行政は「縮小」を衰退=失敗ととらえ、人口増、製品出荷額増を目指そうとするが、かえって世の中のベクトルをみうしなう。

静岡市も、第2次総合計画を策定中だが、右肩上がりを目指す施策を、現実を見誤って策定していくと禍根を残すことになる。なかなか頭を切り換えられないし、受け入れられないかもしれないが「創造的縮小」という概念もあった方がいいと思う。


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Posted by クールなお at 21:55│Comments(18)books
この記事へのコメント
全く同感です!

穏やかな街になっていくのは、決して悪いことではないと感じています。
すこしゆるい感じの街の心地よさは癒しさえも感じて好きです。

金儲けに走りすぎた歪が、良い形に修正されて進化してほしいものです。

その地域ならではの良さを発揮する事。
これはやはり観光と運命を共にするべきかも知れませんね。

ただ、B-1 富士宮やきそばの経済効果は500億円だそうですが、地に足のついた土地の文化や伝統をないがしろにした発展は決して美しくないと感じます。
Posted by 新井一業 at 2010年01月11日 22:12
清水駅前再開発が、非常に心配です。

市民が何を必要としているか、広く声を吸い上げる、
そんな調査はあったのでしょうか?
中央や、どこそこに持っていかれておしまいでは?
図面が引かれたら、止まれないのでしょうか。
ひとつのビルだけで85億円・・・。(違っていたら訂正お願いします)
何か造って、一時的にも人を呼べればいいのでしょうか?

そこは、清水らしいですか?
Posted by ゆいまーるゆいまーる at 2010年01月12日 09:52
これが静岡の現実です。
http://homepage3.nifty.com/joharinokagami/220001.html
確かに、全国的に見てもあまり芳しくない状況です。

現在の日本の繁栄は明治維新を起点にしていますが、あの80年代バブル崩壊を機に、発展から衰退へと舵が切られたと考えています。逆に伸びてきたのが中国、インドなどの新興国ですが、これからの時代はそれらの国々が主役となっていくのでしょう。かつての日本のように。

日本は一体どうなるか?

恐らく、役目を終えてゆったりと時が流れるような地域になるのではないでしょうか?

名づけて「定年国家」。

あくせくとモノ、カネを追い求める社会から、ゆったりのんびり心豊かに生活していく社会。仕事人間は社会の片隅へ追いやられ、趣味人間が主役になる時代。

「ハードからハートへ」

という時代です。明治以前の時代へ戻るような感じかも知れません。
Posted by ponpon at 2010年01月12日 10:43
都市のドーナツ化現象と言うキーワードで山間地開発を
繰り返し、山や田畑をつぶして工場誘致、住宅地を造成してきたら、
今度は小さい都市づくりというキーワードで中心市街地の
活性化を謳い街に人が住むように仕向けています。
地方にこんなビルは必要ないと思われる建物が林立してきます。
そうなると造成された山里の住宅地は引越しのできない
一人暮らしの老人や荒れ果てた里山が思い浮かびます。
これらの手当てにかなりの税金がこれから掛かるだろうな。
世の中の両極端すぎる言葉に惑わされない生き方を自分自身が
持たなければいけませんね。

矢作さんの本は図書館に?
Posted by スプリング・フィールド(S・F)スプリング・フィールド(S・F) at 2010年01月12日 13:42
ゆいまーるさんのコメントに関してですが


駅前に関しては心配している人々が私の周りにも沢山います。
ソフトはどうなっているのか?
ますます町が寂れてしまうのではないかと…。

市民が不安を大きく抱えるような開発は恐怖そのもの。
取り返しのつかないことをされているような気配を強烈に感じます。

舵取り 何とかならないものなのでしょうか。
Posted by 新井一業 at 2010年01月12日 19:13
一日家を留守にしている間に、多くの方からのコメントありがとうございます。
「下り坂」をどうとらえるか、さまざまな意見が聞けて嬉しく思います。

「成長」「開発」のしっぽがどーんと残っている現在進行中の事業が、後世に負の遺産と成らないように願います。

ましてや、今後の都市の方向性を決めていく「総合計画」が、「成長・発展」の観点から脱却できないのでは未来は危うい。

昨日は、新年会のゲストとして出席したが、いわゆる議員さんの挨拶・祝辞を聞いていても、資質に首をかしげざるを得ない方が何人もいた。

危うし静岡!という感をもちました。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月13日 12:01
>新井さま
高炉の火が消えた釜石で、著者が「景気はどう?」と聞いたタクシー運転手が答えて、
「ここの暮らしはハッピーですよ、魚は旨いし、酒はいい。家を建てるにも土地は安い、転居して来なさいな」
仕事が終わると埠頭にいって「その日の夕餉でたべるだけ」スルメイカを釣るそうだ。

マネーキャピタルからソーシャルキャピタルへ、コンクリートから人へ、ということでしょうか。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月13日 12:11
>ゆいまーるさま
再開発は基本的には民間事業です。(85億円のうち11億円国費)
駅西の区画整理事業は静岡市が行い56億1千万円。

郊外開発をやめ、基盤整備のあるまちなか居住の推進という流れの中で行われている事業です。
「市民の声」ということには、聞きましたという答えはいくつも返ってくることでしょう。たとえ東京のコンサル丸投げの調査であっても、やったということでしょう。

現市長が「政令市にふさわしい都市」というのには、駅前にどーんと高層ビルが建つというハード頼みの「成長・発展」時代の妄想がうかがえます。

清水らしくはないです。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月13日 12:31
>ponponさま
定年国家、ハードからハートへ。
「学生期」(がくしょうき)で学び、「家住期」(かじゅうき)で家を建てこどもを育て、 「林住期」(りんじゅうき)で、今までの経験から自分のやりたかったことをする。時間を取り戻す時期、
日本が日本らしく、世界に貢献できることはなにか、そんな時期にかかっているのではないでしょうか。

すべてのものに神が宿る、自然のなかに神を見る、そんな日本人の世界観が、一神教の西欧的な考え方からくる争いを救う、そんな役割を持っているのではないでしょうか。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月13日 12:42
>スプリング・フィールド(S・F)さま
方丈記、鴨長明を思い浮かべました。
方丈の庵、10尺四方の住まいでことたれりとした
日本人の慎ましさ、こころの豊かさをどこに置き忘れて、
バベルの塔を建てようとするのでしょうか。

日本の家は限りなく自然を取り込み、近づこうとして建てられた。
自然の精気を受け、邪気を払うのだから、閉ざされた空間ではなかった。

税金も人口減少・高齢化のダブルパンチで減る一方では、そうもかけられません。隣人祭り、エコマネー、相互扶助、助けあいが大事になりますね。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月13日 13:02
>新井さま
人々の直感、感性のほうが、論理より物事の本質を見抜くことがあります。
私も駅前に土地があること、商店街、まちの衰退を止める一手法として、再開発には少なからぬ関心を持っています。

再開発を推進する立場でもありました。
事業性を確保するためには、高層化しできるだけ多くの床を販売または賃借することが必要となりますが、

土地あまり、空き家率13.1%(総務省)という時代に、あまりに集約化した、高層マンションというのは、資源の浪費である思うと同時に、将来の維持管理に不安を覚えます。

現在の地権者たちは、Bigger is Betterと考えているようですが、世の中全体から見たら、Small is beautifulではないでしょうか。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月13日 13:19
ご返事有難うございます。

私は約一年前、以前暮らしていた大阪駅に近い41階建ての高層マンションを処分しました。
マンション名は桜宮リバーシティーウォータータワーブラザ。
最近まで関西一豪華なマンションとも言われた建物ですが、そこには川が流れ桜並木や大阪では珍しいほどの緑に囲まれ、高級スーパーや複数のクリニック、音楽ホール等々のショップを併設し文字通り素敵なシティーを形成しております。(マンション自体は現在プールされた維持管理費100億円を利用し修繕中)

清水と大阪との差こそあれ高層マンションに住んだ経験上思うことは、駅前に唐突にそのような背の高いマンションだけを建てても、街は決して活性化しないということ。

建物を新しくするならば、少なくともホテルやテナント等の誘致など街のイメージをしっかりと固めた上での街づくりに取り組まなければ、再開発という名の中身の伴わない単なる建て替えで終わりです。

市民の駅前なのですから、夢のあるビジョンを明確に示してほしいものです。
なおさんのお知り合いで、志の熱く影響力ある方 
どなたかおられませんでしょうか?
Posted by 新井一業 at 2010年01月14日 15:48
>新井さん
中心街に不動産をもつものは、私的財産であっても市民のものでもあるという公的責任を負うものと思います。

そもそも、土地という誰のものでもないものを、「私有」するという考え方がおかしいといえます。

たしかに、市民の目に見えるようなビジョンが示されないまま、高層建築物が建てられ、駅前広場が拡幅され土地区画整理がなされている状況です。

以前、東京のコンサルの元、地元商店街の一員として駅広に関するワークショップに参加しましたが、駅広を交通という機能としかとらえず、既得権をもつ交通事業者を優先する行政の進め方に対し、我々市民の望む「集い交流し出会う」場所としての広場という考え方と相容れない者があり、結局なんの結論も出なかった、ということがありました。

まちづくりをマネーフローのハードで事足れりといった時代は、成長発展を疑わなかった時代のものです。

税金を大切に使う、それは市民の声を十分聞くということでしょうね。

もう何年も政治をやっている人のなかには、あまり志が見える人はいませんね、それに勉強不足、時代認識がない、ないないづくしです。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月15日 10:41
ご返事有難うございます。


そうですか。
おそらくなおさんは今日に至るまで、人知れぬ我慢とご苦労の連続であられたことでしょう。

民間の有志を抱え込むように大事にせずして何の政治か。

未来に期待する他はないのですね。
Posted by 新井一業 at 2010年01月15日 11:52
こんにちは。
私も駅開発において、市民の意見っていつどんな形で集ったのだろう・・と不思議に思っていました。
周りの人たちに、何ができるか知っている人はほとんどいません。
こんな状況で工事が進められて、いいのでしょうか?

先日、テレビで三島の商店街のおもちゃ屋さんのニュースがとりあげられていました。
最近子供達にブームのベーブレードというコマを扱って、おもちゃ屋さんで定期的にベーブレード大会を開いたところ、今まで寂しかった商店街に、子供があふれて賑わってきた・・・という話題でした。
清水の駅前銀座は、通りが広く、それこそこういう大会や工夫がされたらもっと賑わうのでは・・と思うのです。
大人はベーゴマを思い出し、懐かしく思うでしょう。
子供から老人まで、勝負に夢中になれるとても素敵なアイデアと思いました。

あの広い通りを利用して、ラジコン対決なんかがあってもおもしろいと思ったり・・・(うちは子供が男の子なので意見が偏りますが)。
とにかく、駅前銀座を盛り上げるには、どうすればよいか・・・きっと意見を募れば、どんどん出てくるような気がするのです。
魚センターだって、ワンコインで干物セットのランチが食べられるとか、何かしら魅力を持ってもらおうという動きがもう少しあればいいのにな・・と素人ながら思ってしまいます。
現にあったとしても、どれくらいの人に浸透しているでしょうか・・

清水のよいところはいっぱいあります。私は何箇所か転々としてきたのでそう思います。
ほぼ各地区に公園があるなんて、子育ての環境には最適です。
海にも山にも恵まれていて、(ゆえに平地が少ないため、土地価格が高いのが残念ですが)もっともっと港以外で清水の良さを知ってもらいたいです。
なおさんのこのブログがあることも、清水の今後を考えていく上でとても重要と思っています。
さまざまな視点からの意見があり、勉強になります。
素人意見であれこれ書いてしまい、すみません・・・
Posted by mako at 2010年01月22日 13:11
>makoさん
駅前区画整理については、多分ずーっと前から、都市計画とかが決まっていたのではないでしょうか。
ただその当時、日本の人口が減り、高齢社会になるということ、衰退縮小していくということを想定して計画を立てたということはないでしょう。

現実に下り坂が実感される時代になり、その計画とのギャップが、市民が首をかしげる原因だと思います。

駅前広場の拡幅は、交通機能の拡大を目指しているもので、決して市民の憩いの広場、交流拠点といったものではありません。

人口減少・高齢化・地球環境などから、現在の拡幅で目指しているタクシーブース、バス乗降場等の交通利便性は、早晩「それほどのものは要らないね」、と見直す時期が来るかもしれません。

駅前銀座は、車も通らない8m幅の屋根付きのいい空間です。
今までは、商店街役員という立場でできなかったことも多かったのですが、これからは市民という立場でオープンカフェみたいなことを、どんどんやっていきたいです。そんなとき市民の応援があり、みんながいいことだということなら、関係官庁も認めると思います。

うちの店で、コミュニティカフェはじまりますので、またお寄り下さい。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月22日 15:22
以前、ブログに少し書きましたが、静岡市の広報では
西口の整備を、「賑わいのある安全なまち、、、、」と
うたっています。
こういう、ピントがずれた広報や、整備の意識は
残念です。
http://emachizura.eshizuoka.jp/e262917.html
(もう、広報しずおかのサイトは他の記事になっています)
Posted by チャオクボ at 2010年01月27日 00:00
>チャオクボさん
縮小を衰退とみるか、現実を認めて次の世界の構想を練るか、
ここいらの立ち位置を間違えると、
世の中のベクトルと違った方向へ向いてしまい、
施策が世の中の足を引っ張るということがままあります。

長いことやっている議員さんなんかにも、よーく勉強してもらいたいものです。
Posted by クールなおクールなお at 2010年01月28日 13:54
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